猫の健康チェック
大切なご家族に次のような症状があれば 当院までご相談下さい。
耳
- 症状
- 耳アカが多い・耳をかゆがる
外耳炎が考えられます。茶褐色から黒色の耳アカが多く出ている時はミミヒゼンダニが悪さをしているかもしれません。そのほかアレルギー性疾患や耳道の構造の問題(猫種)、異物、腫瘤なども原因となります。
眼
- 症状
- 眼が充血している・眼がしょぼついている・涙、めやにが多い
猫の場合、感染性の結膜炎が原因になっていることが多いです。クラミジア感染、マイコプラズマ感染の場合は抗菌薬で治療をします。ヘルペスウイルス感染、カリシウイルス感染の場合は、抗ウイルス薬で治療します。二次性の細菌感染があれば抗菌薬も併用して治療します。
歯・口腔
- 症状
- 口臭がする・硬い食べ物が食べづらい
歯周病や歯肉口内炎の可能性があります。
歯周病は、歯垢の中の細菌が原因となり、炎症をひきおこす病気で、歯肉の炎症から歯周の炎症へと進行性に悪化していきます。
治療は、超音波スケーラーという機械を用いて歯垢・歯石を除去したあと、歯の表面を滑らかにするために歯面研磨を行います(麻酔下の処置になります)。歯周病が進行している際は、抜歯が必要な事もあります。
歯肉口内炎は、さまざまな口腔内微生物とそれに対する過剰な免疫反応という複合的な要因が関与する疾患です。外科療法(抜歯)および内科療法が選択されます。
皮膚
- 症状
- 湿疹がある・赤みやかゆみがある・脱毛している
原因が寄生虫感染(ノミ・ダニなど)であれば駆虫薬を用いて治療を行います。真菌感染が原因の際は、抗真菌薬を用いて治療します。
そのほか、アレルギー性疾患が考えられる際は、感染を除外した後、食餌療法を行ったりステロイド製剤や免疫抑制薬を使用したりします。
呼吸
- 症状
- くしゃみをする・鼻水が出る
細菌感染やウイルス感染による鼻炎が多いです。抗生剤や抗ウイルス薬で治療を行います。
そのほか異物の吸引や、歯根部の膿瘍、腫瘍などが原因となることもあります。
循環
- 症状
- じっとしている・呼吸が早い・急に足が動かなくなり痛がる
心臓の病気かもしれないです(ワンちゃんと違い、心筋症が多いです)。ネコちゃんの心疾患の症状は「なんとなく元気がない」ぐらいの症状しか示さないこともあり、見逃されやすい病気のうちの一つです。そのため「呼吸が苦しい」や「急に足が動かなくなり痛がる」など重篤な状態で来院される事もよくあります。
すべてのネコちゃんに起こりうる病気ではありますが、メインクーンやラグドール、アメリカンショートヘアのネコちゃんは遺伝性の関与が疑われています。
消化器
- 症状
- 食欲がない・吐く・下痢をする
食餌の変更、ストレス、感染、アレルギー、中毒、異物摂取、胃腸炎、膵炎など様々な原因が考えられます。対症療法や基礎疾患の治療を行うことが多いです。
一般的には内科療法を行いますが、異物摂取の場合は外科治療が必要になることもあります。
泌尿器
- 症状
- 何度もトイレに行く・おしっこが赤い
膀胱炎が考えられます。ネコちゃんの膀胱炎では特発性膀胱炎がよくみられます。細菌感染、膀胱結石、腫瘍などが検査によって除外されたら特発性膀胱炎と診断します。環境改善や食餌療法、サプリメント、内服薬などを用いて治療しますが、病態が複雑であり、治療に苦労することも多い疾患です。
生殖器
- 症状
- 食欲がない・膿性のおりものがでる
子宮蓄膿症の可能性があります。子宮蓄膿症は、避妊をしていない雌猫の子宮に細菌が感染し発症します。抗生剤やホルモン製剤を用いて治療をすることもありますが、ときに重篤な状態となることもあるため、当院では麻酔処置が可能な子には、早期の手術(卵巣子宮摘出術)をおすすめしています。
腫瘍
- 症状
- しこりがある
良性のしこりか悪性のしこりかを診断するには、細胞や組織を検査する必要があります。
良性の場合は経過観察となることが多いですが、悪性のしこりが疑われる場合は、手術をしたり抗癌剤をしたりします。
ネコちゃんの乳腺腫瘍は悪性が多いので、見つけたら早めに来院して下さい。
運動器
- 症状
- 段差を上りにくくなった・爪とぎをしなくなった・びっこをひく
変形性関節症が考えられます。原因としては、加齢、肥満、遺伝性素因、環境要因が挙げられ、サプリメントや内服薬(疼痛管理)で治療します。
スコティッシュフォールドは、遺伝的に骨関節症を発症するため、若齢から症状を示すこともしばしばあり、生涯にわたり管理が必要になります。